Fear

小さいころ、怖がりだったわたくしは、
向かいに住む、同い年の女の子とばかり遊んでおりました。

団地に住んでいたわたくしの周りに同年代の男の子が居ないわけでもなかったのですが、
彼らは野蛮で、恐ろしく、
わたくしは彼らの暴走三輪車(それぐらい昔だとういうことね)を見るたびに、
心臓を高鳴らせ、逃げ回っておりました。

そして、その女の子とたった二人、
狭苦しいクロークの中で、二人だけのかくれんぼなどをしていたのです。


幼稚園に上がる前にわたくしは転居し、その女の子と離れ離れになりました。

小学校に入り、その子と再会しましたが、
そのころには男の子と遊ぶことも覚え、
だんだんと女の子としゃべるのが恥ずかしく、
また、幼稚園に入る前のこととはいえ、時にはキッスなどもしていたので、
そのことを記憶に封じ込めていたかったわたくしは、
その子と話す機会をわざと持たずに居たのです。

あの子も恥ずかしいのか、それともこちらが避けているのを感じているのか、
結局、小学校6年弱(途中でわたくしは引っ越したので)、
その子とコトバをかわしたのは、1、2度だったでしょう。

結局それっきり、その子の現在を知りません。
多分今出会ってもお互い判らないと思います。

トシを食い、
それなりにあつかましくなったわたくしですけれども、
その子に今会っても、
気の利いたせりふなどこれっぽっちも出てこずに、無言がちになってしまうのでしょうねえ。

三つ子の魂百まで、と申します。
やはり、根っこは怖がりなのですね。

小さいころは同年代の男の子が、
そして、それ以降はその女の子が。

知らないから怖い、
知ってても怖い。

そういうお話ということで。

[PR]

by kentakuma | 2005-11-11 01:36 | 謎小説