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妄言 at PLUTO

浦沢直樹の「PLUTO」を考える。

この作品中に出てくる人間は、ほとんどがあんまりさわやかじゃない。
 
 麻薬中毒だったり、
 ロボットの死を数万人単位の集会を開いて悲しんでみたり、
 過去に囚われていたり、
 ロボットをあからさまに蔑んだり、
 悪い事たくらんでたり、
 無能な周囲に向かって苛立ちをぶつけてみたり。

まるで、「人間」は弱さを持つものの異名だ。


それに比べてロボットたちは、
特に「大量破壊兵器となりうる」ロボットたちは、それぞれ空洞がありつつも
なんかさわやかだ。
さわやかという言葉は不適当かもしれない。
なんていえばいいのか、
「普通の漫画のヒーローっぽい」とでも言えばいいのか。
彼らの行動の理由も理解できるし、心情(?)も判る。


ただ一体、ロボットの中に例外が居る。
過去に殺人を犯し、それでも異常が全くないということで捕獲されている、
一体のロボット。

彼には悪意がある。
彼の闇はまるでこの作品に描かれている「人間」たちのように深い。


PLUTOの物語がどのように転がっていくかまだ判らない。
けれど、「人間」と「ロボット」の精神性の違いというものが、
非常に大きなファクターになっていくだろうなあ、と予想している。
究極の「ロボット」は「人間」。
「人間」のように負の感情を持ち、悪意を持つ。
そのような、完成したロボットとして、プルートウが描かれるのではないか。
そんな予感がある。

by kentakuma | 2005-05-14 00:00 | 謎小説